カップの中のユートピア
零れ落ちたのは、綴ったはずの言葉たち
Quello.1
- 2011/07/26 (Tue)
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これが、きっと僕らの日常なんだ。
ハローハロー。
神様、この声が聞こえているでしょうか。
もし聞こえていたら今すぐに返事を下さい。
なぜこんなことが起こっているのでしょうか。
自分には、よく分かっていません。
ラ ス ト オ ー ダ ー ？
Quello.１
｢ありえないな｣
｢え、何がですか？｣
｢これはどう見てもありえないだろ｣
“Vasilico”―――昼はカフェ、夜はレストラン…
昼と夜に別の顔を持つこの街で少し風変わりな店だ。
11時開店に向け、店員達が掃除をすることから始まる、はずだった。
金髪茶眼の少し無愛想な顔の青年とピンクがかった茶色の髪と瞳の少女…
彼らはこの店のシェフ・ジュニオールとウエイター・リターナである
｢まず、店長がホールで寝てることが可笑しいだろ｣
｢泊まり込みなんじゃないんですか？｣
｢この店長がそんなことするかよ｣
｢･･･うん、無いですね。｣
彼らは熟知している。
この店の店長は、店の中で大人しく仕事をするような人間ではないことを。
ジュニオールとはまた違った色の金髪蒼眼に童顔の彼は店長・イアン
｢熟睡してますね｣
｢黙ってれば良いんだけどな･･･｣
そんな彼は床で大の字の上にご丁寧に右手にサングラスを握っている。
左手には何だかよく分からない物体を持っていた。
｢これ何ですか？｣
｢また何か買ってきたのかよ｣
リターナが店長の手から彫刻を取り、じっくり眺める。
どうやらまた何処かに行った際に買ったものだろう。
袈裟を着た僧侶が座って目を閉じている…これが大仏というのか。
全体が灰色掛っていて彼女たちには到底理解出来ないもの
･･･のはずだった。
｢う･･･牛久大仏だぁああああ!!!｣
｢うわっ｣
｢うるせえ｣
突然の大声と共に騒々しい音を立てて走って来た1人の青年
青っぽい黒髪と同じ色の瞳をした彼もまた、この店の店員だった
ウエイター・ディスコは先程まで厨房とホールの間の廊下を掃除していた
｢ディスコさん、もう掃除終わったんですか｣
｢それどころじゃないって！これどうしたの!?どうしたの!?｣
｢だからうるさい｣
｢痛っ｣
ジュニオールは彼が持っていたモップを取り、その柄で彼の頭を叩くと
小さな溜息を吐き、抱えられていたバケツの中にモップを入れて立て掛ける
ディスコはリターナが店長の手から取った物体を取り良い表情で眺める
｢こんなの初めて見た･･･！｣
｢いや、そういうのないだろ普通・・・｣
｢ディスコさん、それ何ですか？｣
｢牛久大仏知らないの!?人生損してるよ！｣
｢別に損してないだろ｣
｢牛久大仏っていうのは一番大きい大仏でね･･･｣
瞳を輝かせてリターナに向かって熱を持って語りだす彼と熱く語る彼を見ている彼女らの理解不能で呆れている表情はテンションの差に値している
彼女らが感じたのはディスコの日本に対する憧憬は相当なものであることだけだった
｢それでね･･･｣
｢ディスコー気持ち悪いよー？｣
｢あれ可笑しいなー･･･胸が苦しい。｣
厨房から出て来たのは、茶色の髪と眼をしたたれ目の他の男性店員とはまた違った印象を受ける青年だった。シェフコートに赤いタイをしているのはパティシエ・イレルである。
｢言われるのもう何回目だろ･･･あははは･･･｣
｢イレル、お前楽しそうだな｣
｢何言ってるの、そんなことないって｣
｢顔に“楽しい”って書いてあるぞ｣
｢嫌だなー、ジュンまで僕を虐めないでよ｣
いや、虐めてるのはお前だろとジュニオールの突っ込みも空しく、イレルはディスコの手から牛久大仏を取り上げて何かを企んだような表情で床で寝ている店長に顔を向ける･･･それはそれは楽しそうに
｢何するんですか？｣
｢ん？面白いこと｣
｢(楽しいのお前だけだろ･･･)｣
｢牛久大仏―！｣
｢ディスコ、ハウス！｣
｢犬･･･？｣
後書き
第1話です。
世界観不明だと思います。
少し短いですが、2話以降も短すぎずに読みやすくなればと思って
ちょっと短く書くかもしれません。
兎にも角にも...
ここまでお付き合い下さった方、有難うございました。
次回の2話もお楽しみください。
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